夏への扉

夏への扉 (ハヤカワ文庫SF)

夏への扉 (ハヤカワ文庫SF)

う~~ん、この作品、なぜ、そこまで人気があるのか、いまのところ正直よくわかりません(^^;)。たしかに、テンポがすごくよくて、半日くらいあったら一気に読めてしまうし、面白い話だと思いますが、いまひとつ深みがないというか、心に響くものがないのが残念。SF小説って、あまり読まないので、そういうものを求めるのが間違っているのかもしれませんが...。「思い出のマーニー」、「ジェニィ」のすぐあとに読んだというのも、ちょっと不運だったかもしれません。それから、1956年の作品なので仕方ない気もしますが、世界観にちょっと違和感を感じました。ハイアード・ガールとか、フレキシブル・フランクみたいな自動機械の描写が多いからよけいです。その点、「嵐が丘」や「高慢と偏見」って、この作品より100年も前に書かれたのに、ほとんど古臭さを感じないのは、なぜなんでしょう。これから未来がどう変わるのか、どう変わってほしいか、ということを書いた場合、予想と現実が違えば、その作品は古くなってしまいます。でも「嵐が丘」や「高慢と偏見」は、どういう未来でもここは変わらないはず、という部分に目を向けているから、時代を超えられたんじゃないでしょうか。最近、偉い人たちが、変われ、変われ、と言うので、みんな、複雑な時代の流れの変化ばかりに目を奪われているような気がします。気がついたら目を回していたなんてことにならないように、まず動かないものを探すべきなのかもしれませんね。